日本で唯一の定期寝台特急「サンライズ出雲(瀬戸)」は、週末や繁忙期になかなか予約できないプラチナチケット。そのなかでも、8席しかない激レア客室が「シングルツイン」です。実はこれ、1人でも2人でも利用可能で座席を変形できる不思議な客室なんですが、今回はその内部がどのような構造になっているのか、じっくり解説しましょう。
サンライズ出雲には数少ない激レアな客席がある!
東京-出雲市間を約12時間(臨時便は15~16時間)で結ぶサンライズ出雲には、さまざまな客室があります。
一般的なB寝台のシングルの寝台料金は1人7,700円で、これに特急料金3,300円(繁忙期は200円~400円増)、片道運賃1万2,210円(東京-出雲市間)が追加され、合計2万3,210円ほどかかります。
現在は人気が高すぎて、週末や繁忙期にはなかなか予約が取れないプラチナチケットになっているんですが、一般的なB寝台シングルは80室、ソロは20室、雑魚寝のノビノビ座席は28席あるので、平日なら比較的予約しやすいでしょう。


とはいえ、サンライズ出雲には平日でもなかなか予約が取れない激レアな客室もあります。まず、「A寝台(シングルデラックス)」は6室、A寝台の下にある「サンライズツイン」は4室、上下2段の「シングルツイン」は8室しかありません。
今回紹介するシングルツインは、8号車に1室、9号車に3室、13号車に3席、14号車に1室とバラバラに配置されており、9号車の洗面所近くにある部屋は車椅子対応個室となっていて、かなり広い客室になっています。
また、シングルツインは1人でも2人でも使用可能で、1人利用時の寝台料金は9,600円ですが、2人利用時は5,500円が加算されて1万5,100円となります。
2人利用時の1人当たり平均料金は7,550円なので、実はシングルよりもやや安く利用できるんですね。

室内が変形する特殊なシングルツインの構造とは?
そもそも、サンライズ出雲では2人で利用できる客室が「サンライズツイン」と「シングルツイン」の2種類しかありません。
サンライズツインは1Fにある広い客室で、ベッドが横に2つ並んでいますが、シングルツインのほうは、1Fと2Fが吹き抜けになっている特殊な客室で、ベッドは上下2段になっています。
それにしても、“シングルなのにツイン”というややこしい名称になっているのはなぜなのでしょうか?

まず、シングルツインは1人利用でも上下ともにベッドになっており、浴衣やスリッパ、コップなども2人分用意されています。
しかし、下段のベッドのシーツを剥がすと、マットは3つに分割されており、真ん中のマットを外して壁に立てかけると背もたれとして使用できます(片側のみ)。
続いて大きなテーブルを引き出せば、2人で一緒に車窓を楽しめる座席として利用することが可能なんですね。
ちなみに、上段のベッドも折り畳み可能なので、1人利用時には天井が高くぜいたくな空間にすることもできますよ。


シングルツインは1Fと2Fが吹き抜けになっているので、シングルやソロに比べるとかなり広い空間となっています。
そのため、入口には大きめのキャリーバッグを余裕で置くことができますし、2Fに上がる階段部分にはショルダーバッグやリュックなどを収納することも可能です。

ほかにも1Fの入口付近は小さな物置スペースがあるので、ハンドバッグなどはここに置けますし、階段の1段目の奥にはコンセントも用意されていますので、スマホの充電も可能です。
また、2Fに上がる階段の上部壁には2つのハンガーがあるので、冬はここにジャケットをかけることができますよ。
このように、シングルやソロでは考えられないほど、物を置く場所や空間が広いのが、シングルツインの大きな特徴となっているのです。

続いて、2Fを確認してみましょう。2Fへはソロの2Fと同じように階段を使って上がります。ベッド幅もソロの2F並に狭いのですが、ショルダーバッグを置けるくらいのスペースも用意されていました。
天井からは黒いベルトが伸びていますが、これは落下防止用。なんだか、昔のブルートレインの3段ベッドを思い出させてくれますね。もちろん、2Fの窓は大きくラウンドしているので、見晴らしは最高です。
壁には黒いスイッチがありますが、実はこれ、窓のカーテンを自動で開閉するためのもの。シングルやソロは手動ですが、シングルツインは自動になっているので、無理に手動で動かしてはいけません。
なお、この自動スイッチは1Fにもあり、2Fの窓のカーテンを1Fにいながら開閉することもできるんですよ。



まとめ
いかがでしたか? 今回はサンライズ出雲でも激レアな客室「シングルツイン」を紹介しました。
1人でも2人でも利用できることから、“シングルなのにツイン”という不思議な名称がつけられていますが、実際に客室は1Fベッドが2人用の座席に変形しますし、2Fベッドも折り畳めるので、1人でも2人でも快適に利用できる構造になっているんです。
正直言って2人なら、やはり横にベッドが2つ並んだサンライズツインのほうがオススメですが、1人で利用する場合はかなり贅沢な空間になります。
寝台料金はシングルより1,900円ほど高くなってしまいますが、天井が高くて開放感があるので、人によってはA寝台より快適に感じられるかもしれませんね。
もちろん、部屋数が極端に少ないので平日にみどりの窓口で10時打ちしてもらっても取れない場合も多いと思いますが、機会があればぜひシングルツインを利用してみてください。