梅雨の季節、通勤・通学で、傘を差しながらイヤホンを使う人は珍しくないだろう。しかし、耳を塞ぐことが、実は危険と隣り合わせであるという意識を持っている人はどれほどいるのだろうか。NTTソノリティの調査によると、雨の日に傘とイヤホンを同時に使用したことがある人のうち、約4割が「周囲の音に気づかずヒヤリとした経験がある」と回答した。今回は、日常に存在する音と視界のダブル死角の実態と、リスクを避けるためにできることを見ていこう。

約4割がヒヤリを経験!ダブル死角が生む危険な場面とは?

NTTソノリティは2025年5月30日から6月2日にかけて、日常的にイヤホンを使用する500人を対象に、梅雨時期の通勤・通学時における「傘とイヤホンの同時使用」に関する実態調査を実施した。その結果、「雨の日にイヤホンやヘッドホンをつけたまま通勤・通学をすることがある」と答えた人は全体の55.8%にのぼった。また、そのうち41.0%が「周囲の音に気づかず、ヒヤリとした経験がある」と回答した。雨音とイヤホンの音が重なり、周囲の音をほとんど遮断してしまう状況に加え、傘によって視界までもが狭められる。視覚と聴覚が奪われるため、ダブル死角が生まれるのだ。

さらに、調査では聞こえなかった音として「通行人からの呼びかけ(42.3%)」「自転車のベル音(35.9%)」「駅や電車内のアナウンス(35.9%)」「車のクラクション(35.2%)」など安全確保に欠かせない音が多くあがった。雨の日は特に通勤・通学に潜む見えない危険により一層敏感になる必要がありそうだ。
約4割が危険を意識していない?注目されるのは「オープン型イヤホン」

では、音と視界のダブル死角の危険性をどれくらいの人が認識しているのか。調査結果によると、視覚と聴覚が同時に遮られるリスクを「意識している」と答えた人は56.8%。一方で、43.2%は「意識していない」と回答しており、約4割が危険を自覚していないまま通勤・通学している実態が浮き彫りとなった。特に、ノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホンやヘッドホンなどの普及が進む現代では、外部の音がますます届きにくくなっており、危険性は以前にも増して高まっているといえる。

そんな中、安全性を確保する選択肢として注目されているのが「オープン型イヤホン」だ。耳を塞がずに音楽や通話を楽しめるこのタイプは、周囲の音も同時にキャッチできるため、ながら聴きのリスクを大幅に軽減することができそうだ。実際に使用経験がある人の中で、約7割が「安全性が高まった」と実感している。さらに「駅やバスのアナウンスが聞こえて乗り過ごしを防げた(39.5%)」「通行人や店員の呼びかけに即座に反応できた(36.8%)」「後方から近づく自転車や車に気づけた(34.2%)」など、実用面での効果も確認されているのだ。
これまでヒヤリとした経験がなかったとしても、日常生活で危険が常に潜んでいる可能性がある。音と視界を奪われがちな梅雨シーズンだからこそ、イヤホンの使い方を見直す良いタイミングかもしれない。
出典:【NTTソノリティ株式会社】
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